自宅葬の案内状の注意点は?文例もご紹介

自宅葬の案内状の注意点は?文例もご紹介

故人や喪主の自宅で葬儀を行うことを、自宅葬といいます。「気の置けない親族だけでこぢんまりと葬儀をするなら、式場ではなくくつろげる自宅から送ってよいのでは」「想い出が詰まった自宅で、最後の時間をゆっくりと」と考えている方は、自宅葬を視野に入れてみてはいかがでしょうか。ここでは、 自宅葬の案内状作成する方法 について解説します。

自宅葬の案内には工夫が必要

自宅葬をしたいと考えたとき、悩みがちなのが案内状の作り方です。マナーの本やサイトを調べてみても、一般的な葬儀を行うときの文例が出てくるだけで、自宅葬に特化したものはあまり見当たらないでしょう。

人数が少ない葬儀という意味で、親族など身近な人だけが参列する「家族葬」の案内文を参考にする人もいるかもしれません。しかし、家族葬も基本的には自宅ではなく葬儀式場で葬儀を行うケースが大半です。案内文の文例も、式場を利用する想定で作成されています。

自宅葬の案内を作る場合は、自宅での葬儀ならではの注意点があります。

自宅葬の案内文で注意したいこと6つ

自宅葬の案内文を作る際、注意したいのは以下の7つです。

「案内文」と「死亡通知」をはっきり分ける

葬儀に招待する人に対しては葬儀日程を記した「案内文」 を、逝去は知らせたいものの 葬儀に招待しない人には葬儀日程を記さない「死亡通知」 を作成しましょう。葬儀式場で家族葬などを行うときも同じ配慮が必要ですが、手狭な自宅で葬儀をする際にはいっそう大事になります。

もし葬儀に招待しない人へ案内文を渡したら、葬儀日程を知ったその人は「自宅での葬儀ということだが、日程を知らせてくださったのだから参列すべき」と考えます。式場のように目立つ看板のない自宅を探して訪れたものの、近親者しかいない葬儀で居心地の悪い思いをする……といったことになりかねません。

遺族も、シンプルな葬儀で十分なもてなしができず、もどかしい思いをするかもしれません。葬儀に招待しない人には死亡通知を出しましょう。

自宅の地図を載せるか、住所を明記する

「親族はみんな自宅の場所を知っているから大丈夫だろう」と考えず、自宅の地図か住所はしっかり載せておきましょう。タクシーに道筋を告げるときも便利です。

火葬時間を明記する

身近な人たちだけで自宅葬を行うなら、参列者の多くは出棺や火葬にも立ち会うのではないでしょうか。 葬儀の時間だけでなく火葬の時間も明記 しておくと、その日の流れが分かるため親切です。

通夜の有無を明記する

葬儀だけで通夜を行わない場合は、その旨を明記します。

駐車場の有無を明記する

自家用車を使って移動するのが当たり前の地域においてはとくに、駐車場の有無を明記しましょう。せっかく車で来てくれても、停める場所がなくては参列できません。ご近所の駐車場を借りる場合も、その旨をしっかり書きます。公民館などの駐車場を借りたい場合は、町内会長に相談してみましょう。

駐車場

供物を辞退したいならその旨を明記する

祭壇の脇に飾られるような大きいスタンド式の供花や盛籠を送りたいと考える親族もいるでしょう。しかし、家のつくりによっては、そういった供物をたくさんは置けない可能性があります。供物を辞退したいのであれば、その旨も明記しましょう。これは 案内文だけでなく、死亡通知においても同じ です。

着替える場所の有無を明記する

これは案内文に記載するのではなく個別に伝えても良い事柄かもしれませんが、とくに遠方から訪れる人が多い場合は、着替える場所の有無をしっかり明記しましょう。プライバシー保護のためにも、セキュリティのためにも、あまり他人に入って欲しくない個室に通さざるを得なくなる事態は避けたいものです。

自宅葬の案内文・死亡通知の文例

以上の注意点を踏まえ、自宅葬の案内文の具体的な文例をご紹介します。葬儀に招待しない人に向けた死亡通知の文例も、参考までにご覧ください。

自宅葬の案内文の文例

自宅葬へ招待する人には、以下のような案内文を出します。

母○○はかねて病気療養中でしたが 6月15日 永眠いたしました
ここに生前のご厚誼を陳謝し 謹んでお知らせ申し上げます
通夜は遺族のみで済ませ 葬儀は 下記の通り自宅にて執り行います

葬儀 6月18日(日) 午前11時
出棺          午後12時30分
火葬         午後1時
火葬場での軽食をもって精進落としといたします
自宅住所 ○○市○○町○-○○
電話 ○○○-○○○○-○○○○
駐車場は○○町内公民館をお使いください(○○市○○町○-○○)
喪主 ○○○○
なお 勝手ながら供物の類はご辞退申し上げます
手狭なためお着替えの部屋をご用意できませんので 喪服にてご参集ください

自宅葬の死亡通知の文例

逝去を知らせたいが自宅葬に招待しない人には、以下のような死亡通知を出します。
葬儀が終わってからの通知でも構いません。

母○○はかねて病気療養中でしたが 6月15日 永眠いたしました
ここに謹んでお知らせ申し上げます
生前の故人の遺志により 告別式は身内のみで執り行います
(生前の故人の遺志により 告別式は○月○日 身内のみで執り行いました)
生前中のご厚誼に陳謝し 失礼ながら書中をもってお知らせ申し上げます
令和○年○月○日
○○県○○市○○町○-○-○
喪主 ○○○○
なお 勝手ながら供物・香典・弔電の類はご辞退申し上げます

自宅葬の案内文を送るときのマナー

ここで、自宅葬の案内文を送るときのマナーについても解説します。自宅葬ではないケースでも使えるマナーです。

まずは電話し、次に文面を送る

葬儀に限らず、 急ぎの連絡は電話を使うのがマナー です。故人が亡くなってから初めて連絡を取るときはとくに、まずは電話で逝去を伝えましょう。そして日程を口頭で告げた後、「詳しくは文面を送ります」と締めます。

電話で詳しく日程を伝えた場合でも、聞き間違いやメモのし忘れなどを防ぐため、 後で文面を必ず送り ましょう。

電話パソコン

文面を送るのは普段やりとりしている方法がベスト

文面は、紙にプリントアウトして手渡しするのが一番丁寧とされます。しかし遠方でかけつけられないなど、手渡しが叶わない人はたくさんいるでしょう。その場合はメールやSNSなど、その人と普段やりとりしている方法で文面を送ります。

電話で訃報を伝えたときに「詳細はLINEで送ってよいでしょうか?」などと尋ねてから送ると、より親切です。

招待しない人には案内文を送らない

自宅葬に招待しない人には案内文を送らないことを、遺族間で徹底 しておきましょう。喪主が気をつけていても、遺族の誰かが仕事先や近隣の関係者などに「取り急ぎのお知らせ」のつもりで案内文を渡す可能性があります。とくに、訃報を近隣に知らせる役目を持つ町内会長などに案内文を渡してしまうと、混乱が生じるかもしれません。

【まとめ】自宅葬の案内文には細やかな気配りが必要

以上、自宅葬の案内文の作成方法について解説しました。自宅葬は気兼ねのない空間で、気の置けない人たちと見送りができる葬儀です。ゆったりしたお別れの時間を過ごすため、参列者らに気配りを効かせた案内文を渡しておきましょう。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。